【コラム】著作権について考えてみる

世界的に評価が高い、日本のアニメや漫画は、大事な文化的資産として、あるいは国際競争力がある産業分野として、大事に育てて行く必要があります。

しかし、これらがインターネット上の海賊版によって大損害を受けました。文化庁の資料によれば、「漫画村」で、なんと約三千億円分の出版物がタダ読みされました。

こうした問題のほかにも、著作権法の分野は課題が多く、毎年のように法改正がなされています。本稿では著作権を取り巻く問題を多角的に考えたいと思います。

芸術作品については、その作者が著作権を享有することに異論はないでしょう。では、幼稚園児が描いた絵は?

著作権が認められるには、その作品が「著作物」でなければなりません。
「著作物」には「創作」性が必要とされているところ、何らかの個性が表れていれば「創作」性があるとされています。

したがって、幼稚園児が、描いた絵について著作権を享有する可能性が十分あります。

著作権は、身近な問題です。

著作権には、種々の知的財産権の中でも、ユニークな点があります。それは、登録しないでも、著作物の「創作」とともに、権利が発生するということです。この点、権利の発生に、特許庁への登録を必要とする特許権や実用新案権、意匠権、商標権などとは異なります。

しかも、上述の通り、著作権の発生に必要な「創作」性は、一般的に高度なものは要求されません。
したがって、世の中は、著作権があふれかえっていると考えても、それほど的外れではないでしょう。

著作権法の改正は、通常、著作者「保護」の強化を目的として行われます。ただし、「副作用」もあります。
「副作用」は、次のようにして発生します。

ある人が何らかの表現活動を企てます。しかし、世の中には著作物があふれかえっています。そのため、表現活動において、他人の著作権を侵害してしまうおそれがあります。

その場合の罰則は軽くないので(懲役刑もありえます)、表現活動を控えようと考えました。これが、「副作用」としての委縮効果です。

「保護」のさじ加減が大切です。

SNSに写真をアップしたら、背景に著名なネズミのキャラクターが写っていた場合、どうなるでしょうか。
これが、映り込みと言われる問題です。

そのキャラクターに創作性があれば、著作物として保護の対象となる可能性があるので、SNSなどにアップすれば、訴えられるかもしれません。

こうした場合、今回の法改正では、映り込んだ画像や音などが付随的であること、正当な範囲内であるなど一定の要件を充たせば、権利侵害とならないこととしました。

違法にアップロードされた漫画や書籍を個人的にダウンロードする行為は違法でしょうか?

従来、違法配信物の個人的ダウンロードに伴う複製が「違法」となりうるのは、「録音」「録画」に限られており、それ以外は、野放し状態でした。

そこで、「録音」「録画」以外も違法となりうるように法改正されました。

ただし、規制強化に対する慎重論にも配慮し、違法となるのは、「知りながら」、「軽微」でない、などの要件を満たした行為に限定されました。

違法にアップロードされた著作物へのリンク情報を集めたサイト(「リーチサイト」)等により多額の被害が発生しました。

このため、①侵害コンテンツへのリンク情報を提供する行為と、②リーチサイトの運営行為等が規制対象となりました。厳しい罰則が定められており(②は5年以下の懲役、500万円以下の罰金)、要件をめぐり、異論もあるところです。

利用と保護の適切なバランスはどこにあるのか。議論は尽きません。