【コラム】企業価値向上のために重要な「秘密情報の保護」

経済の健全な発展を目的とし、事業者間の公正な競争の実現を目指す法律である不正競争防止法では、企業が持つ秘密情報が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合に、民事上・刑事上の措置をとることができます。そのためには、その秘密情報が、不正競争防止法上の「営業秘密」として管理されていることが重要なものとなります。

営業秘密として保護される情報は、以下の3つを満たす必要があります。

  1. 秘密として管理されていること(秘密管理性)
  2. 事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)
  3. 公然と知られていないこと(非公知性)

不正競争防止法を所管する経済産業省では、「営業秘密管理指針」ならびに「秘密情報の保護ハンドブック」を作成しホームページで公開しています。(PDFデータ)

特に、後者のハンドブックでは、経営者や企業の従業員などが秘密情報の管理を行うにあたっての参考となるよう、秘密情報を決定する際の考え方、具体的な漏えい防止対策、取引先などの秘密情報の侵害防止策、万が一情報の漏えいが起こってしまった時の対応方法等が紹介されています。

目次

◆「秘密情報の保護ハンドブック」の意義

本ハンドブックの冒頭に秘密情報の重要性、本書の目的が以下の通り書かれています。

(秘密情報の重要性)

○ 企業が有する「情報資産」は、商品の生産、販売、サービスの提供などの様々な企業活動の価値や効率性を高めています。「情報資産」と一口に言っても、顧客情報、発明情報、ビジネスモデル、取引情報、人事・財務情報など多種多様であり、製品やサービスが均質化しつつある近年において、他者との差別化を図り、競争力を高めていくために、「情報資産」の保護・活用は、ますますその重要性を増しています。

○ そのような「情報資産」の中には、他者に対して秘密とすることでその価値を発揮する情報(秘密情報)が存在します。そのような秘密情報は、一度でも漏えいすれば、たちまち情報の資産としての価値が失われてしまい、その回復は非常に困難なものです。企業の経営に致命的な悪影響を与える場合もあるでしょう。

(本書の目的)

○ 経営者は、秘密情報を含めた「情報資産」を企業活動の中でどのように有効に活用しつつ、その漏えいリスクにどのように対処していくかを、リーダーシップを持って判断していかなければなりません。そこで、本書では、秘密情報を決定する際の考え方や、その漏えい防止のために講ずるべき対策例、万が一情報が漏えいした場合の対応方法等を示しており、それによって、経営者をはじめとする企業の方々に、自社における秘密情報の管理を適切に実施していく際の参考としていただくことを目的としています。

*秘密情報の保護ハンドブック P5(経済産業省)より引用

企業価値の向上に向けて、この「秘密情報の保護ハンドブック」をぜひご活用ください。

たかの県庁前法律事務所の代表弁護士 高野哲好は、日本弁理士会が用意する全ての実務修習過程を修了し、令和3年8月3日付けで弁理士に登録されました。

クライアント様のさまざまな知的財産権に係るニーズにお応えして参ります。ぜひご相談ください。

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