これからの企業経営に重視される「デザイン経営」、そして”知財”

製品の同質化(コモディティ化)が進む中、機能や品質のみでの差別化は困難な状況となってきています。今では、機能や品質面で優れた製品を開発しても、新興国企業がすぐに追従することで、価格競争に巻き込まれ、競争優位の確保が困難な時代となっています。

米アップル社や英ダイソン社をはじめとする欧米企業は、明確な企業理念に裏打ちされた自社独自の強みや技術、イメージをブランド・アイデンティティとしてデザインによって表現し、製品の価値を高め、世界的な市場拡大に結び付けています。

2017年、特許庁はデザインによる我が国企業の競争力強化に向けた課題の整理とその対応策の検討を行うため、経済産業省と合同で、著名デザイナー、デザイン担当役員、知的財産担当、経営コンサルタント、学者からなる「産業競争力とデザインを考える研究会」(座長:鷲田祐一 一橋大学大学院商学研究科教授)を立ち上げています。

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/kenkyukai/kyousou-design/index.html

そして、本研究会での11回にわたる議論の結果を踏まえ、平成30年5月に報告書を取りまとめています。

さて、イノベーションという言葉は、日本語では「技術革新」と翻訳されて用いられています。この「技術革新」は、研究開発によって新しい技術を生むこと、つまり発明という意味での「インベンション)」とほぼ同義のように考えられています。
しかし、「イノベーション」とは、発明そのものではなく、「発明を実用化し、その結果として社会を変えること」が本来の意味であるそうです。
革新的な技術を開発するだけでイノベーションが起きるのではなく、社会のニーズを利用視点で見極めながら、新しい価値に結び付けること、すなわちデザインが介在してはじめてイノベーションが実現するというわけです。

このプロセスを「知財」という観点から観てみると、発明が行われると特許が出願され、その発明が商品化され市場に投入できるようになると意匠が登録されるということになるわけです。

ダイソン、アップルなどの企業は、特許出願が増えた後に意匠登録が増えるのに対して、日本企業の多くにおいては、1980年代に盛んだった意匠登録が、1990年代以降は低迷しています。

企業の経営者様におかれましては、競争力、業績の向上のために、特許庁、経済産業省が推進する「デザイン経営」について、ぜひご注目いただければと思います。

このような時代を迎えるにあたって、当事務所の代表弁護士 高野 哲好は、2021年3月15日、早稲田大学大学院法学研究科において知的財産法LL.M.コースを修了し、修士学位(先端法学)を取得いたしました。
続いて、日本弁理士会が用意する全ての実務修習過程を修了し、同年8月3日付けで弁理士に登録されております。

「デザイン経営」が今後ますます重視されて行く中で、知財、すなわち知的財産権によって企業価値を高めるためのパートナーとしてお役にたって参ります。

知的財産権でお困りのかたは、たかの県庁前法律事務所へご相談ください。

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