民法(債権法)が改正され、契約等に関する部分が新しくなっています。

民法の債権関係の規定(契約等)は、明治29年(1896年)に民法が制定された後、約120年間ほとんど改正がされていませんでした。

この間、我が国の社会・経済は大きく変化しており、民法のうち債権関係の規定について、契約に関する規定を中心に、(1)社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに、(2)民法を国民一般に分かりやすいものとする、大きく2つの観点から、基本的なルールが適切に明文化され、2020年4月1日から施行されています。

(1)社会・経済の変化への対応を図る観点からの改正の概要

<出典:法務省 https://www.moj.go.jp/content/001242837.pdf

① 債権者が一定期間権利を行使しないときは債権が消滅するという「消滅時効」の制度により債権が消滅するまでの期間について、民法に置かれた職業別の例外規定を廃止するなどして、原則として5年に統一されています。

② 金利が低い状態が続いている現状を踏まえて、契約の当事者間に利率や遅延損害金の合意がない場合等に適用される「法定利率」について、年5%から年3%に引き下げた上で、将来的にも市中の金利動向に合わせて変動する仕組みが導入されています。

③ 第三者が安易に保証人になることで起きてしまう被害を防ぐため、個人が事業用融資の

保証人になろうとする場合について、公証人による保証意思確認の手続を新設し、一定の例外を除き、この手続を経ないで行われた保証契約は無効とされています。

④ 保険や預貯金に関する取引など、不特定多数を相手方とする内容が画一的な取引(定型取引)に用いられる「定型約款」に関する規定を新設し、定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたときは、相手方がその内容を認識していなくても、個別の条項について合意をしたものとみなすが、信義則に反して相手方の利益を一方的に害する条項は無効とするなどとされています。¥

(2)民法を国民一般に分かりやすいものとする観点からの改正の概要

<出典:法務省 https://www.moj.go.jp/content/001242837.pdf>

① 重度の認知症などにより意思能力(判断能力)を有しないでした法律行為は無効であることが明記されています。

② 債権の譲渡について、譲渡時に現に存在する債権だけでなく、譲渡時には発生していない債権(将来債権)についても、譲渡や担保設定ができることが明記されています。

③ 賃貸借に関する基本的なルールとして、敷金は賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときに賃料等の未払債務を差し引いた残額を返還しなければならないこと、賃借人は通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化についてまで原状回復の義務を負わないことなどが明記されています。

事業における取引には、売買基本契約・販売代理店契約・業務委託契約・ライセンス契約・フランチャイズ契約等が日常的な取引契約となっていますが、今回の民法改正によって、これまでの契約書の条項を見直す必要があるケースが多々あるものと考えられます。

従来の契約書の書式を見直したい事業者の方、新たに締結した契約書の内容が、今回の民法改正に従っているか不安を持たれている場合、たかの県庁前法律事務所にお気軽にご相談ください。